リンドウは、秋を代表する美しい花です。フラワーアレンジメントや鉢植えでもおなじみですね。実はこのリンドウ、静かなイメージの外見でありながら、様々な花言葉を持っています。そしてその言葉はそれぞれ特徴的で、リンドウの奥深さを感じさせてくれるものなのです。
恋愛中のカップルには、贈る相手のイメージと自分の想いを花言葉に乗せて贈る方法も良いでしょう。一方で恋愛感情とは違う、悲しみのなかにいる友人などに、寄り添う気持ちで贈ることもできます。
その花言葉の中から、5つの言葉を取り上げてご紹介します。控えめながらも美しいその姿が、ますます貴重なものに見えてくるかと思います。そして、あなたがお花を贈る際のヒントになれば幸いです。
リンドウの花言葉を添えて贈る☆
心に響く5つの言葉
花の姿から生まれた言葉「あなたの悲しみに寄り添う」
リンドウは、リンドウ科リンドウ属の多年生植物で、秋に花を咲かせます。日本では、さまざまな種類のものが野や山にかけて自生していますが、その大きな特徴のひとつとしして「群生せずに一本一本咲く」ということが挙げられます。その孤独に見える花の姿から「悲しんでいるあなたを愛する」という、ちょっと奇妙ともとれる花言葉が生まれました。
この言葉から何をご想像されますか?「では『喜んでいる時のあなたは嫌い』なの?」「泣いたり嘆いている姿の方が好きということかな?」いろいろな解釈があるかと思いますが、このような見方もできるのではないでしょうか。
リンドウは古来から日本人に愛されてきた花です。平安時代に、清少納言が著した「枕草子」にもこのような記述があります。「竜胆は枝さしなどもむつかしけれども、異花どもみな霜枯れたるに、いとはなやかなる色あひにてさし出でたる、いとをかし」
周りの花がなくなってしまっても、青紫に代表される鮮やかな花をつけるその姿は「悲嘆している」というよりも「ひとりでも耐え、けなげで強い」印象を与えるのではないでしょうか。現に「悲しんでいるあなたが好き」だけではなく、「あなたの悲しみに寄り添う」「悲しんでいるあなたを慰めたい」という花言葉も、リンドウは持っているのです。
青紫のリンドウの花色は、心を落ち着かせ、癒しや回復力をもたらす色でもあります。花言葉も良い方向からの解釈をし、カードなどを添えてその意味を伝えることで、きっとあなたの真心を伝えられるのではないでしょうか。
紫の花色が由来と思われる「高貴」
花の色、と言うよりも色そのもののお話になります。皆さんは「冠位十二階」という言葉を覚えていらっしゃいますか?学校の授業で取り上げられるので、きちんとした意味がわからなくても聞き覚えのある方が多いと思います。
「冠位十二階」は、飛鳥時代、604年に制定された日本初の冠位です。これは、朝廷に仕える臣下を12の等級に分けて、その地位を表わす冠を天皇から授けたものです。絹で出来た冠にはそれぞれの等級の色が定められました。その最高位「大徳」の冠の色が紫だったのです。以来紫は、高貴な色として認識されるようになりました。
そして平安時代に入ると、美しい紫色の花をつけるリンドウは当時の貴族たちにもてはやされ、庭に植えたり贈り物に添えたりされるようになったのです。リンドウの花言葉「高貴」は、これらの背景からつけられた花言葉と解釈されます。
最近「敬老の日」のギフトとして、リンドウがとても人気があるのも、この言葉の影響があるようです。年配の方だけでなく、目上の方や尊敬する方へ贈る花にも向いていますね。
決まった条件下で花を咲かせる「誠実」さ
リンドウが「群生せずに一本一本咲く」ことは既に記しました。他にもリンドウには「晴れた日に花を咲かせ、曇りや雨の日、そして夜には花を閉じる」という性質があります。なんと、閉じたリンドウ限定で「あなたの夢が甘美でありますように」という花言葉があるのです。花言葉は花の咲き方にまで限定したものはあまりなく、とてもユニークと言えます。
それにしても、太陽の光に触れた時にだけ花を開くとは、なんとも律儀なイメージを与えます。「誠実」という花言葉はおそらくこの様からつけられた花言葉なのでしょうね。
また、リンドウの主な花色の青紫、そして白も「誠実」のイメージをもつ色です。このような視点で考えてみると、いろいろなシチュエーションに、リンドウの花を応用できそうですね。
花の姿に重なる「正義」
この花言葉が何を根拠につけられたか、を考えますと、やはり花の姿、花の咲き方からくるものだと思われます。リンドウは、野や山の短い茎の種も、切り花などに用いられるの長い茎の園芸種も、空に向かって真っすぐに伸びています。
何より、太陽の光によって花を開き、その顔を迷うことなく太陽に向けています。その花の姿は、心にやましいものがない「正義」を連想させるものではないでしょうか。
世界的に認められた薬効が由来「勝利」
リンドウは漢字では「竜胆」と書き、その根には薬効成分があります。現に健胃作用のある生薬「リュウダン(竜胆)」は、リンドウ科の植物の根を数種類合わせたものが原料となっています。
また、リンドウの属名「Gentiana(ゲンティアナ)」も、その薬効を発見したといわれるイリュリア最後の王、ゲンディウスにちなんでいます。イリュリアは古代ギリシア・ローマ帝国時代にバルカン半島の西部に存在していた国ですので、いかに古くからリンドウに薬効があることが知られていたか、おわかり頂けることでしょう。
これらのエピソードに加え、リンドウが空に向かって花を開く姿が「病気に打ち克つ姿」に結び付き、「勝利」という花言葉を生んだようです。
「仏前にお供えする花」というイメージもあるリンドウですが、実は大変縁起の良い花なのです。お見舞いのお花などにもぴったりですよ!
いかがでしょうか。そこにある花の姿だけでなく、見えない根の薬効のことや花の咲き方に至るまで、様々なことが総合的に花言葉に繋がっていることがおわかり頂けたことと思います。日本で一般的に知られている「リンドウ」はエゾリンドウ、北海道などで栽培される品種です。
純粋な愛の表現だけではなく、どこか悲しげ・儚げな面影も感じられる一方で、誠実な愛情を伝えることもできるでしょう。花言葉はメッセージカードに添えて贈っても良いですね。
もともと、リンドウは花を愛でるというよりも、薬草としても名高いものでした。秋が到来し、リンドウが咲く、あるいはショップに出回る季節になったら、ぜひそのことを思い出して、花に目を留めてみてください。きっとこの花の価値が、心に響くことでしょう。
まとめ
リンドウの花言葉を添えて贈る☆心に響く5つの言葉
・花の姿から生まれた言葉を「あなたの悲しみに寄り添う」
・紫の花色が由来と思われる「高貴」
・決まった条件下で花を咲かせる「誠実」さ
・花の姿に重なる「正義」
・世界的に認められた薬効が由来「勝利」