アロマテラピーに使われている精油には殺菌作用があるものが多いことが知られていますよね。ティーツリーは、その中でも群を抜いた殺菌・抗菌能力があることで有名で、ティーツリーオイルを利用したインフルエンザ対策という話も話題になりました。
インフルエンザウイルスをティーツリーが直接殺すことはできないまでも、細菌による二次感染を防ぎ粘膜の炎症を抑えることで、インフルエンザを誘発しないように予防する力には大いに期待ができます。
また、ティーツリーは多くの市販のニキビ用化粧品、フケやかゆみ用シャンプー、制汗剤や水虫薬まで広く配合されている成分でもあり、薬効が証明されています。リラックス効果や癒しの効果とは一味違ったティーツリーの様々な効能は、私たちの生活にとても役立ってくれるものです。そこで今回はティーツリーの効能が見逃せない5つの特徴についてお伝えします。
ティーツリーの効能が
見逃せない5つの特徴
ティーツリーはオーストラリア東海岸に分布するフトモモ科コバノブラシノキ属の常緑樹です。ブラシノキという名前は、まるでコップを洗うブラシのような形の赤いふわふわした花が咲く園芸植物にも見られるものですが、ティーツリーも白い羽毛が集まったような花を咲かせるため、「メラレウカ」という名前で観賞用の庭木として植えられることもあります。
同じフトモモ科にユーカリ、マヌカハニーで知られるマヌカなどがあり、アボリジニの間で薬として用いられてきたばかりか、その優れた抗菌性が科学的に検証され戦争中の医薬品でもありました。
お茶にしていたのでティーツリーの名がついているという説が有力ですが、オーストラリアでは同じ原生林に生える、似たような香りや外見の植物をまとめてティーツリーと呼んでいたこともあり、そこは定かではありません。現代では内服することは厳禁です。
ティーツリーの主力生産国のオーストラリアでは、ティーツリーを抗菌剤として使うことが認められています。生産についても基準が厳しいので、オーストラリア産のティーツリーを選ぶことが品質面では安心です。
薬箱に常備したくなるティーツリーの効果
ティーツリーの高い抗菌・殺菌能力はその成分の3割を占めるテルピネン-4-オールからくるものですが、フケの発生の原因である真菌、ニキビの原因アクネ菌、水虫の原因白癬菌、食中毒の原因の黄色ブドウ球菌、大腸菌、年間を通して家中にはびこる黒カビ菌などほとんどの菌の繁殖をわずかな量で抑制します。
しかも皮膚の炎症を抑える働きもあるため、原液で威力を発揮するのがハチ、蚊、ブヨなどの虫刺されや小さな傷などで、ごくわずか付けるだけで症状を回復させることができます。
また水虫、ニキビの治療などにも使ってみる価値はあります。なお、蚊よけスプレーを作るのにはティーツリーの成分だけでは効果が薄く、蚊が嫌うシトロネラルという成分の多いレモンユーカリのほうが向いています。
ティーツリーで風邪を寄せ付けない身体に
冬だけでなく夏風邪もあるように、抵抗力が落ちている時は空気中のカビや細菌などに身体が敏感に反応し風邪の症状が出やすくなります。喉の調子がおかしいなという時に、コップ1杯の水にティーツリーを1摘入れてうがいをすると喉の粘膜に細菌が付着するのを防ぎます。また、湯船に数滴垂らして良くかき混ぜて入るのも温まった身体に蒸気を吸うことで同じような効果があります。足湯に使うのもおすすめです。
ティーツリーを垂らした水拭き掃除でさっぱり、爽やか
頑固な汚れには向きませんが、通常の水拭き掃除にティーツリーを使うと部屋中がさっぱりします。バケツに水を張り、ティーツリーを1~2摘垂らしてかき混ぜその中で雑巾を濡らしてから固く絞って、玄関、フローリングの床、壁、洗面所、お風呂場などを拭いてみて下さい。
トイレの便座や便器、洗面所など水の飛び散る場所に除菌用アルコールスプレーを使うことも多いものですが、これにもティーツリーを1~2摘垂らして良く振り使うと消臭にもなり一石二鳥です。このスプレーは窓ガラス掃除にも使えるので便利ですよ。
あらゆる場所に使えるティーツリーの優れた消臭効果
部屋の臭いは気になり始めると止まらないものですよね。でも、脱臭剤も玄関や各部屋にとなると出費もバカになりません。簡単な消臭方法はティッシュにティーツリーを1、2摘落としてデスクやテーブルの上におくだけです。下駄箱の中などの狭いところにこもった臭いもティーツリーが消してくれます。
また霧吹きに水道水を入れてその中に10摘ほど落として良く振り、部屋にスプレーするのもおすすめです。タバコの臭いにはベルガモットやレモンをブレンドして使用すると爽やかでさらに効果が上がります。
いかがでしたでしょうか。ティーツリーは数少ない皮膚に直接塗れる精油ですが、化学成分としては大変強いため、局所的に少量使う場合を除いては必ずキャリアオイルや水で薄めることが重要です。
また、近年ではティーツリーによる皮膚感作性(過剰な免疫反応によって、皮膚にかぶれが起こる)やペットの中毒症状も報告されています。幼児やペットのいるところでは精油の使用に十分注意して下さい。
よくティーツリーの香りを薬っぽいと嫌う人もいますが、これは1,8シネオールという刺激成分のせいで、この含有量が低いティーツリーもあります。また香りは鮮度とも関係するので生産年のチェックも大切です。
似た名前の精油でレモンセントティーツリー(レモンティーツリー)というものがありますが、これは通常のティーツリーとは成分が異なりシトロネラルが非常に多いレモンのような香りがする精油です。こちらも強い殺菌性が注目されていて、ティーツリーと組み合わせた商品も開発されています。
ティーツリーは香りを楽しむというよりは実用に長けた精油ですが、ラベンダーやローズマリー、ベルガモットなど他の精油とも相性が良いので組み合わせて使ってみるのもオススメです。
まとめ
精油の中の「外科医」ティーツリーの優れた効能
・ティーツリーはオーストラリアで昔から優れた抗菌性が証明されていた
・ほとんどの菌に対応する殺菌・抗菌能力と消炎作用で原液使用が可能
・風邪を寄せ付けないためにティーツリーでうがい、入浴が有効
・部屋中の拭き掃除にティーツリー入りの水でさっぱり、爽やか
・タバコの臭い、下駄箱の中など特定の臭いもシャットアウト