アロマテラピー検定は年々受験者数が増えている、女性に人気の検定試験です。アロマテラピーに興味を持っている人にとっては、自分がどれくらい知識を身につけているか確認ができますし、何よりもアロマテラピーに対する理解が深まります。
アロマテラピー検定は「公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)」が主催し、「アロマテラピーを自分で楽しみ、健康維持のために用いる知識」を問う2級と、「アロマテラピーを家族や周囲の人々とともに楽しみ、健康維持のために用いる知識」を問う1級の2種類があります。
とは言え初めての挑戦となると、どこから勉強をすすめていいのかわかりづらいものです。基本的にはAEAJが出版している公式テキストの内容を把握し、問題集を解くことをおすすめしますが、ここではそれに際して押さえておきたい「7つの基礎知識」について解説します。
アロマテラピー検定を目指す☆
挑戦前7つの基礎知識
「精油とは何か」を把握しておこう
まずは、アロマテラピーを行うにあたって欠かせない「精油(エッセンシャルオイル)とは何か」についてアロマテラピー検定前に把握します。
アロマテラピー検定の主催である、AEAJの定義では「精油は植物の花・葉・果皮・樹皮・根・種子・樹脂などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質である」とされています。
それを踏まえ「植物にとって精油はどのような役割を果たしているのか」「精油にはどのような性質があるのか(例:空気中に放置しておくとどんどん蒸発してしまう)」などのことを学んでいきます。
【 アロマテラピー検定で覚えたい、植物からの採油法 】
・水蒸気蒸留法
・圧搾法
・揮発性有機溶剤抽出法
・油脂吸着法
・超臨界流体抽出法などがあります。
アロマテラピー検定試験前に、それらがどのような方法であるかも把握しておくと、安心です。
「精油のプロフィール」を覚えよう
アロマテラピー検定の「精油のプロフィール」の出題範囲となる精油は2級では10種類ですが、1級ではそれに20種類プラスされた30種類となります。試験問題では、ひとつひとつの精油に関するさまざまな知識が問われます。
なお、アロマテラピー検定で、具体的にどの精油が該当するかは、公式テキストか独学用のサイトをご参照ください。
【 アロマテラピー検定の試験勉強で覚える項目 】
・植物の科名
(例:オレンジスイートはミカン科)・植物の学名
(生物につけられた世界共通の名称。例:イランイラン=Cananga odorata)・精油は植物のどの部位から、どのように採油されるか
(例:ゼラニウムの精油は花と葉から、水蒸気蒸留法で採油される)・精油にはどのような作用があるか
(例:ラベンダーの精油は強い鎮静作用がある)・精油はどのような特徴成分を含んでいるか
(例:オレンジスイートはリモネンを含む)・その他、植物の産地や植物に関わるいわれ
(例:ローズマリーはハンガリアンウォーターの主成分として使われた)
このようにアロマテラピー検定試験では、様々な方向から出題されます。それぞれの精油について、整理して覚えてください。
「精油の安全な使い方」を確認しよう
精油は「有効成分を高濃度に含有した」物質なので、注意を払って取り扱わなければなりません。そのためアロマテラピー検定でも、基本的な取扱い方法をしっかり確認しておいてください。
【 アロマテラピー検定で出題される、取り扱い方法の例 】
・肌に原液を直接塗布してはいけない
(付着したらすぐに流水でよく洗い流す)・精油は内服・飲用しないこと
・不快感が起こったら使用を注意する
・3歳以下の幼児には、芳香浴以外では行わないようにすること
などの項目です。
これらの知識は実際にアロマテラピーを行うときに必ず役立ちます。
また、柑橘系の精油(ベルガモットやレモンなど)には、光毒性があります。これは精油が肌に付着したまま日光を浴びると、紫外線の作用で肌が赤くなったりかぶれたりすることを指します。このようなことも忘れずに覚えておきましょう。
※ちなみに芳香浴とは、精油を空気中に拡散させる方法です。アロマランプやアロマディフューザーなどの使用もこれにあたります。
「アロマテラピーの利用法」を確認しよう
アロマテラピー検定では、精油の様々な利用法も出題されます。
例えばその利用法のひとつに、沐浴法(湯に精油を滴下してして全身、もしくは一部をつける利用法)がありますが、この方法はさらに細かく分類されます。
【 アロマテラピー検定で出題される、沐浴法の詳細 】
・ 全身浴法
浴槽に湯をはり、5滴以下の精油を落としてよくかき混ぜ、ゆっくりと全身をつける利用法。リラックスするためには38~40℃前後のぬるめの湯、元気を出したいときや目覚ましをしたい時は少し熱めのお湯で、短時間で切り上げる。
・ 半身浴法
みぞおちまでつかる程度のお湯に3滴以下の精油を落とし、よくかき混ぜて上半身が冷えないようにしてから、汗が十分出るまでつかる利用法。身体の負担が軽くリラクゼーション効果が高い。
・ 足浴法
たらいやポリバケツに熱めの湯をはって3滴以下の精油を落とし、よくかき混ぜてから足首やひざ下までをつける利用法。座ったままできるので、高齢者や体力のない方でも安全に利用できる。
この時覚えておきたいのは、それぞれに適した精油の量と、その利用法がどのような効果をもたらすか、ということです。他にも芳香浴法・湿布法・吸入法など様々な利用法がありますので、確認してみてください。
「精油の伝達経路」と「精油の様々な作用」を覚えよう
アロマテラピー検定の試験勉強では、精油が身体に対してどう働くのか、伝達経路を把握しておくのも大切なことです。
【 精油を身体に働く、伝達経路の例 】
・嗅覚
精油の成分が鼻の粘膜から信号となって脳の様々な部分に作用し、身体の調節に関わる。・皮膚
皮膚の血管に精油成分が吸収され、血流に乗って全身に行きわたる。・呼吸器
精油の種類によっては呼吸器の粘膜に精油成分が浸透すると、痰を切って咳を鎮める効果がある。・消化器
消化器から精油成分が吸収され、血流に乗って全身に行きわたる。ただし、AEAJでは内服をすすめていない。
となっていますが、アロマテラピー検定での出題はさらに細かく「脳のどの部分に作用するか」などを問うてくるので、伝達にかかわる部位名を把握しておきます。
そして精油には植物の性質によって「鎮静作用」「抗菌作用」「血行促進作用」など様々な作用があります。このような作用にもどんなものがあるのか、アロマテラピー検定前に、精油と合わせて覚えておきます。
「アロマテラピーの歴史」を把握しよう
今日のアロマテラピーが確立するまでには、様々な研究者が関わってきました。古代で植物は薫香やチンキ剤として使われていたのを皮切りに、古代ギリシアやローマ時代を経て中世・近代と、植物の利用法はだんだん高度なものになります。
【 アロマテラピー検定で出題される歴史問題の例 】
・「誰が○○を著した」ということ。
例:)古代ローマの植物学者プリニウスは「植物誌」を記した
・「誰が○○を開発した」
例:)14世紀末に、ハンガリー王妃エリザベート1世の「手足の痛み」の治療のため、修道院の僧侶がローズマリーを主体とした 痛み止め薬「ハンガリアンウォーター」を作って献上した。
など、アロマテラピー検定の試験勉強では、主なポイントを時代別に覚えておきます。
主な精油の香りを覚えよう
☆ アロマテラピー検定での香り出題法
アロマテラピー検定ではサンプルが配られ「これは何の香りか」という問題も出題されます。
・ 2級では対象10種類の中から出題。
・ 1級では対象17種類の中から出題されます。※ 出題範囲はAEAJのサイトを確認してください。
この香りを覚える作業は、まずは本物の精油に触れて、印象を自分なりに記録しておくことが大切です。
【 アロマテラピー検定での、香り問題の勉強例 】
☆ ラベンダーの精油の香り
少しウッディ―な雰囲気もあるフローラルな香りと称されます。
確かに香りと言うのは、文章だけではイメージがわきにくいものです。「あまり好きではない香り」でも構わないので、それぞれの精油の特徴をつかんでおきましょう。
いかがでしたでしょうか。今回はアロマテラピー検定に備えておきたい、7つの基礎知識になります。
アロマテラピー検定2級が基礎にあたり、1級はさらにそれを発展させたものです。1級ではこれ以外にもアロマテラピーに関わる身体のメカニズムや健康論、精油を希釈して用いる基材(主に植物油)、アロマテラピーに関する法律などからも出題されます。
そしてここでは触れませんでしたが「アロマテラピーと地球環境」についての出題もあります。オゾン層破壊や森林破壊、地球温暖化などの基本的な環境問題について問われますので、このあたりも確認しておくと安心です。
アロマテラピー検定は、その上位資格であるアドバイザーやインストラクター、そしてセラピストの資格取得の入口でもあります。アロマを仕事にしたい方や、知識をさらに深めたい方はぜひ、ここから始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
アロマテラピー検定に挑戦!覚えておきたい基礎知識
・精油自体についての歴史や、役割、採油法を覚える
・それぞれの精油の基本的な特徴や採油法を把握する
・精油を扱うための基礎知識、安全な取り扱いを覚える
・アロマテラピーの利用法は、細かい詳細まで把握
・精油の伝達経路や作用は、部位に至るまで細かく覚える
・古代ローマから現代に至るまでのアロマテラピーの歴史
・精油の香りを嗅いで、10種類・17種類のなかから答える