その名前を知らなくても、緑のカーテンを目にしたことのある方は多いでしょう。緑のカーテンとは、つる性の植物を窓の外や壁面に張った、ネットに這わせるようにして育て、カーテンやシェードのように仕立てたものを指します。戸建てではなくてもマンションのベランダで気軽に育てられる丈夫なものばかりです。
緑のカーテンは強い日差しを和らげる遮光効果のほか、植物の葉の裏側にある気孔が水を蒸発させることによる蒸散効果が打ち水のような役割を果たして、自然な涼しさをもたらしてくれます。
この緑のカーテンは、育てやすい品種を選べば、ガーデニングの初心者でも仕立てることができる点も魅力です。そこでお手入れが比較的簡単で、花の美しさや実の収穫を楽しめる、7つのユニークな緑のカーテンに向いている植物をお伝えします。
緑のカーテンに挑戦!
初心者のおススメ7つの植物
育てやすくて美しいアサガオ
アサガオは、日本で最も発達した園芸植物のひとつで、古くから人々に愛されてきました。小学生の時に、アサガオの生長の観察記録をつけたことのある方もいらっしゃるかもしれませんね。
このアサガオにはたくさんの品種がありますが、つるの伸びが旺盛で大ぶりな、葉のつきのよいアサガオが、緑のカーテン向きでしょう、緑のカーテンの形に仕立てるのも楽です。
【緑のカーテンに向いている品種】
・西洋アサガオ
・宿根性アサガオです。
もちろん花も楽しむことができ、西洋アサガオの一種のソライロアサガオは花径約10㎝の青く美しい花をつけます。ただ、これらの花の盛りは秋口になるので、夏に花を楽しみたい方は緑のカーテンに日本アサガオでも良いでしょう。
【アサガオの育て方】
・花が咲くまでは控えめに水やりをします。
・花が咲いたら土が乾かないよう、たっぷりと水やりをしてください。
緑のカーテンの定番、ゴーヤー
緑のカーテンと言えばゴーヤーを思い浮かべる方も多いでしょう。ゴーヤーは、病害虫がそれほどつかずに、強めの日光と高めの気温、そして十分な水があれば、すくすくと育つ強い植物。緑のカーテンにぴったりです。
もともと熱帯アジアが原産ということもあり、関東以西の地域の方が育てやすいと言われていますが、夏に入ればどの土地でもおおむねよく育ちます。
【緑のカーテン、ゴーヤーの育て方】
・株の間を広めにとって、風通しをよくしてあげてください。
果実はビタミンCがたっぷり含まれていて、独特の苦みが食欲を増進してくれます。沖縄の郷土料理・ゴーヤーチャンプルーが有名ですが、その他にもおひたしやジュースなど様々に使えますので、ぜひ果実の収穫を楽しみに育ててくださいね。
目に美しく栄養たっぷり!ツルムラサキ
緑のカーテンに適したツルムラサキは、葉や茎の様子に独特の美しさがある植物です。病気や虫の害も少なく、比較的簡単に育てられます。2m程度の伸びなので、家屋の一階の窓や、マンションのベランダでの緑のカーテンに向いています。
野菜としては聞き慣れないかもしれませんが、ツルムラサキは茎と葉を食べることができます。
【ツルムラサキを食べる】
・モロヘイヤに似たぬめりや粘り気があります。
・味はホウレンソウに似ています。
・ビタミンやミネラルが豊富。
【ツルムラサキの料理】
・生でサラダに。
・ゆでておひたしや和え物に。
緑のカーテンだけではなくツルムラサキは思いのほか、たくさんの料理に使えるのも魅力です。
カラフルな花が魅力のツンベルギア
緑のカーテンにおすすめのツンベルギアは、アジアやアフリカの亜熱帯~熱帯が原産の、カラフルな花をたくさんつける植物です。
緑のカーテンとなりながら、濃淡のある黄・オレンジ・白・紫などの花径3㎝ほどの花を、7月上旬~10月下旬にかけて咲かせます。暑さに強く開花期も長いので、花を十分楽しむことができます。
【ツンベルギアの特徴】
・日当たりと水はけのよい場所を好みます。
・多湿には弱いです。
・風通しを良くするために株の間を広く取るのがポイントです。
水は、地植えなら葉がしおれてきたらたっぷりと、プランターなら土の表面が白く乾いた頃にたっぷりとあげてください。
風船型の果実がかわいいフウセンカズラ
緑のカーテンにぜひおススメしたいのが、このフウセンカズラです。よく茂るととても涼しげで、7~9月頃に白い5mmくらいの小さな花を咲かせた後、直径3㎝ほどの風船型の果実を鈴なりにつけます。
小さな葉と、丸く膨らんだ果実の対比は、見ていてとても心が和むものです。
【フウセンカズラの特徴】
・とても丈夫で、緑のカーテンに手入れがしやすいです。
・日当たりさえ確保すればどんな場所でも育ちます。
・狙われやすい害虫も特にいません。
・生育中に様子を見ながら肥料を与えれば、よく育ちます。
そしてもうひとつのお楽しみは種です。丸い種に白いハート形の模様が入り、なんともかわいいものです。
実がなるのが楽しみなヘチマ
江戸時代、町民たちは夏になると軒先に「ヘチマ棚」を作り、その大きな葉で日差しを遮っていました。この頃から既に、緑のカーテンのように、植物の力を借りて涼しく過ごす工夫があったのですね。
緑のカーテンに、ヘチマも丈夫で育てやすい植物です。暑さと強い日差しにも負けず、ぷらんとした大きな実を楽しむことができます。
【ヘチマの特徴】
・株の間を風通し良くすると良く育ちます。
・実が重くなるので、へたの部分を紐やネットで支柱に固定すると良いでしょう。
・根が大きく張るので地植えに適しており、ベランダよりも戸建て向けです。
緑のカーテンだけではなく、実がなったら食用ヘチマなら食べることができますし、たわしを作ったりすることもできます。ただ、何よりあのユーモラスな実が育ちながらぶらさがる様子には、なんとも言えない風情を感じます。
花姿を楽しもうルコウソウ
緑のカーテンにおすすめのルコウソウは、アサガオと同じヒルガオ科サツマイモ属の植物です。細く分かれた糸状の葉に、花径3㎝ほどの赤・ピンク・白色の星形の花を咲かせます。葉のやわらかい雰囲気と、花姿がとても素敵です。
【ルコウソウの育て方】
・低温には弱い性質を持っています。
・窒素肥料を切らさないように注意してください。★水は地植えの場合葉がしおれたら★
・プランターなら土の表面が白く乾いたら、たっぷりと与えましょう。
花は7~10月にかけて楽しめます。このように、ルコウソウの育て方は、ともに緑のカーテンに適したアサガオと、同じような方法です。
以上、ガーデニングの初心者さんにも育てやすい、緑のカーテンにおすすめの植物を、7つご提案しました。いかがでしたでしょうか。一戸建てだけではなく、ベランダの小さなスペースこそ、充分に活用できるのが緑のカーテンです。
緑のカーテンの魅力は、自然な涼しさだけではなく、光に透ける葉や、木漏れ日の美しさが心を癒してくれる所にもあります。緑の少ない都市部では特に緑のカーテンがもたらしてくれる、様々な効果を実感できるのではないでしょうか。
緑のカーテンに使われる植物は他にもたくさんあります。慣れてくればブドウやパッションフルーツなど、果物の収穫を楽しめるカーテンも作ることができるでしょう。
まずは育てやすい植物から始めて、来年はこの植物、再来年はあの植物…と、様々な緑のカーテンを計画するのも素敵です。ぜひ、楽しみつつ、緑のカーテンにチャレンジしてみてください。
まとめ
初めてでも手入れが簡単で丈夫な、7種の緑のカーテン
・アサガオは子どもと一緒に育てやすい定番の花
・東京でも栽培する家庭が急増!すくすく育つゴーヤー
・ツルムラサキは緑のカーテンと、目の保養効果
・色とりどりのツンベルギアは暑さに強く開花も長い
・よく茂るフウセンカズラは、果実も種も可愛い
・愛嬌のあるヘチマは、戸建て向けの緑のカーテン
・星型の可愛い花、ルコウソウは窒素肥料を絶やさずに関連記事